革命前夜

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 それを耳にした家政婦のモリスが激怒した。執事も息子のやらかし事に青褪めて平謝りした。すると、エルザの父は鷹揚に笑って水に流した。 『あはは。子供は元気でいいね~ 君たちは本当に仲良しだなぁ~』  父はおおらかで陽気で細かい事は気にしない性質だった。お金に困っている人がいたらすぐに貸してしまう。  ちなみに、エルザの母が亡くなったのは半年前のことである。エルザの妹のアリーを出産した数ヵ月後に肺炎で亡くなった。  まだ幼いアリーのことは若い乳母が世話をしている。  エルザの母が亡くなってから、エルザは寂しくて時間を持て余していた。  その翌日、エルザは、いつものようにベルが洗濯物を取り込む姿を眺めていた。暇だった。もうすぐ、村の学校からジェイミーが帰ってくる。裏口のところにいれば会えると思っていた。  ジェイミーは、いつも忙しそうにしている。将来、王都にある王立大学に行きたいと公言している。奨学金をもらったとしても生活費がかかるみたいだ。親に負担してもらうのは申し訳ないので少しでも稼きだい考えている。  でも、エルザの父親ならばポンッと貸してくれるような気がする。何しろ、我が家はお金持ちなんだもの。  いずれ、ジェイミーは寄宿学校に入ることになる。そこは男子しか入れないところで規律が厳しいらしい。しかも、ここからは遠いところにある。そうなると、なかなか会えなくなる。  このところ、エルザは頻繁にジェイミーにまとわりついている。そんなエルザを見かけた家政婦のモリスが言った。 『ジェイミーはで小さい学年の子を教えています。金曜日は遅くなるようですよ』  少しガッカリして木陰に座り込んでボーッとしているとベルがやってきた。トントンと背後から肩を叩いている。
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