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プロローグ
今から100年ほど先の話。
人類は「新世界秩序:New World Order」という抜本的な社会システムの改革を経て、これまで先人が築いて来た価値観、思想、習慣、ルールを超えた世界での生活をしていた。しかしそこに至るまで穏やかに変革を遂げるなど当然不可能なことであった。数多くの戦争と紛争、災害、疫病蔓延などで人口激減と言う多くの犠牲の上に成り立ったものであった。
それは「大掃討作戦」と呼ばれた人類の掃除である。その結果70億人いた世界の人口は10億人程にまで激減させられ、700万人ほどの支配層と9億数千人の一般層と貧民層という極端な人口分布となっていた。世界政府の中心部は総司令本部と呼ばれ、かつてのベルギーの首都ブリュッセルに置かれている。各国家は解体され世界政府の管理区域(CA:controlled area)と呼ばれた。例えばかつてメキシコと呼ばれた国は「メキシコCA」と言った具合に、人々が認識しやすい呼称とされた。
通貨は2038年の世界大恐慌をきっかけに、新たな基軸通貨として「メイソル」という通貨ポイントによる電子マネーに切り替えられた。現金はもちろんカードなどを携帯する必要は無く、細胞に情報を焼き付けるLT(レーザータトゥー)が主流となっている。細胞が死ねばその情報は無効となる仕組みだ。その情報は生まれた時に世界市民として登録された者のみに与えられた。
婚姻と家族制度は崩壊し、支配層のみが人工授精により後継者を持てるものとなった。優秀な遺伝子は高値で売買され、またクローン技術による子孫の生産も盛んになった。それは支配層の中だけの話であり、放置された管理区域では人口調整のため、子を持つ事は禁止されていた。しかし密かに子供を産む例は後を絶たず、生まれた子供達は未登録のためLTが無い。その人々は「ネームレス」と呼ばれ貧民街に溢れた。
言語は英語が世界共通語となり、各国の母国語の使用は禁止された。依然テレビ、インターネットが情報媒体であるが、それらは全て英語で配信されている。そして全ての宗教は廃止された。『神は他にあらず。それは人類の創造主ネフィリムのみである』という教えのもと、ネフィリム信仰を唯一強制された。その化身とされるヘビは崇められる存在となっている。
支配層達が何世代にも渡り長い年月を掛けて目指した超管理社会、新世界秩序。それが可能な人口調整は整った。そしてこの支配層達の正体、それは人類では無くレプティリアンと呼ばれる古代に地球に降り立った爬虫類人の種族であった。彼らは金採掘の労働力として当時地球にいた猿人と自分達のハイブリッド(交配種)として遺伝子工学で人類を創造した。シェイプシフトと呼ばれる方法で人類に擬態でき、長い歴史の中で人類として存在していたのだ。
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