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「今日はバーベキューだよ~」
帰ってきたコウガとニックを歓迎するリリカと子供達。
「お帰り、コウガ、ニックさん」
食卓には鉄板プレートとタコヤキ用鉄板が用意されていた。
「今日はメバルをいっぱいもらって来たぞ。最盛期だからな」
クーラーボックスをドンとテーブルの上に乗せるニック。
「5月は最盛期なんですかぁ?」
コウガも一から勉強中だ。
「おう、そうだよ。爺さんたちはサシミにすれば」
「いいねぇ。エンドウさん捌いてくれ。サシミがいい」
もと板前のエンドウに声を掛けるスズキ。子供達は調理もするが、さすがに刺身はまだ無理だった。それに刺身は食べない。
「エビもあるぞ。そのほか雑魚が色々。タコはタコヤキ用な」
「やったぁ」
子供達はタコヤキが大好きだ。
「リリカ、もっと油つけなきゃ貼り付いてダメだぞ」
リリカが焼くタコヤキに子供達が集まって見ている。ニックは心配だ。
「え? もう入れちゃったもん」
「あーあ」
子供達も眉を潜めて見ている。
「回してみる」
棒で突くがまだ早過ぎだ。それでも焦げ付き始めていた。
「熱が強いよ、リリカ」
コウガもアドバイスを入れる。
「え? そう?」
ガチャガチャと掻き回すリリカ。生地が焦げ付くだけで球体にならない。
「ダメだ。子供達、焦げ付いたのをスプーンで取れ。やり直し、やり直し。次はしっかり油を塗れよ」
「ごめんなさい・・・」
うまく火加減を調整できないリリカ。申し訳なさそうに下を向く。
「いいんだよ、リリカ。何事も勉強、勉強」
優しくコウガはリリカの肩を叩いた。
自分はいつも調理したものを食べさせてもらっていたのだろうか。何も思い出せないジレンマがまたリリカを襲う。
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