1・その後の二人

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 食後は風にあたりながら海原を眺めボーとする二人。 「ニックさん」 「あん?」 「昨日リリカにイルカって何だと聞かれたんです」 「うん、それで?」 「サンディにリリカはイルカみたいだったと言われたらしいんですよ」 「ふんふん」 「どうしてサンディはそんなこと言ったのですかね。何か知ってます?」  深刻な顔をして聞いてくるコウガ。 「ああ、前に子供達をオーサカ港に連れて来た事があるんだよ。魚を獲ってバーベキューしようってさ」 「ハイハイ」 「俺とコウガは人数分も魚が釣れるかなぁって心配でさ、釣り道具なんかバッチリ用意して来たんだ」 「ほう・・・」 「そしたらリリカがいきなり海に飛び込んで何匹も魚を捕まえて来ちゃうんだ。俺はビックリしてさ。それなら早く言えよって」  ニヤニヤと笑いながら懐かしそうに言うニック。 「子供達は目を丸くして大喜びさっ。俺達の立場なんか無かったよ」 「へぇ~、そうなんですかぁ」 「たぶん、その時のリリカの事を言ったんじゃねぇのかな?」 「なるほど。そんな事があったのですね」  思い出したい。そんな楽しい思い出があったのなら思い出したい。コウガは強く願うが、それを深く考える事はストレスに繋がる。今日もまた新たに聞いたエピソードを自分の思い出として刻み込むのだった。 「また、みんなで来ようか。釣りでもいいからよ・・・」  遠くを見つめてニックは呟いた。あの日の締めくくりにみんなで見た夕日が目に浮かんだ。
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