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「こら、ラック!お前はいつもイタズラばかりして!」
包装紙や袋がビリビリに破られているのを見て、サンタクロースのドレッドはカンカンに怒りました。それでも子猿のラックは悪びれることなく、舌を出してピョンとジャンプ。器用に窓を開けて山小屋の外へ飛び出して行きました。
「待たんか!ラック!」
冷たい風が勢いよく吹き込んできて、高齢のドレッドは寒さに耐えられません。窓を閉め、長い白髭を触りながら深い溜息をつきました。後を追わないのには理由があります。この季節、外は極寒。さすがのラックも遠くに行くことはできません。そんなことをすれば、命を捨ててしまうようなものです。ドレッドは、ラックの行き先に目星が付いていました。
「まったく、あいつは毎年毎年……」
そう言って顔をしかめたのは、ラックが憎かったからではありません。腰に激痛が走ったからです。最近、持病の腰痛が日に日に悪くなっているようでした。それでもドレッドは腰をいたわりゆっくりと歩き、剥き出しになった山のようなプレゼントの前に立つと、ひとつずつ紙や袋で丁寧に包み直し始めたのです。
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