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「まーた、ドレッドに迷惑かけたのかい?」
ラックが猿専用の扉から入ってくるなり、トナカイのニトラスがニヤニヤしながら聞いてきました。ドレッドの予想は的中。ラックは、山小屋のすぐ隣にあるトナカイ舎に来ていたのです。
「だって、ムカつくんだもん」
口を尖らせるラックにニトラスは大笑い。ラックは声を張り上げました。
「何がおかしいんだよ!」
「ごめんごめん。かわいいなぁと思ってさ。お前、ドレッドのことが大好きなんだな」
見る見るうちにラックの顔は赤くなっていきました。図星だったようです。
「ドレッドはサンタクロースだ。世界中の子どもたちがプレゼントを待ってる。クリスマスの時期くらい、お前を置いて行ってしまうことを勘弁してやれよ」
「わかってるよ」。ラックはそう反論したかったものの、うまく言葉にできません。胸が痛いほど頭では理解できていることを誰かに指摘されると、気持ちが追いつかない自分が駄目なように思えてきて情けないやら恥ずかしいやら。ラックは「もういい」と捨て台詞を吐き、山小屋の自分の部屋に戻って行ってしまいました。
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