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その翌朝。吹雪はおさまり、太陽に照らされた雪が輝いています。トナカイ舎の前に設置されたベンチに座ったドレッドが、ラックとニトラスを呼びました。
「お前たちに大事な話がある。今年のクリスマスはラックも旅に連れて行きたいと思う」
昨晩のことを叱られると覚悟していたラックは驚きました。「どうして?」と投げかけたのはニトラスです。
「世界をめぐる旅は、巷でイメージされているようなハッピーばかりではないことはニトラスもよく知っているだろう。だからこそ、小さなラックはここに残してきた。でも、ラックも少しは大きくなったし、何よりワシの体力が限界に近づいている。ラックに手伝ってもらいたいんじゃよ」
ラックの瞳は、周辺の雪のようにキラキラと輝き始めました。
「ドレッド、ありがとう!僕、がんばるよ!」
「お前、本当に大丈夫かぁ?」
ラックを茶化すニトラスですが、その表情は嬉しそうでした。
「そうと決まれば、早速出発の準備じゃ。いつもより早めに出るぞ」
ラックとドレッドは山小屋へ、ニトラスはトナカイ舎へ戻り、それぞれ支度を始めました。
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