1148人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、トオルさんのプロポーズはビックリするくらいに急だった。
高校の卒業式を終えた夜、トオルさんは真っ赤なバラの花束を抱えて我が家へ現れた。
トオルさんの事はお母さんには話していたけれど、お父さんは何も知らない。
高校卒業したばかりの娘が結婚??
お父さんの困惑した姿は、それは当たり前の反応だ。
でも、そんなお父さんも、トオルさんがEOCで働いていると聞いただけで、すぐに友好的な態度に変わった。
まだ学生だった私はEOCがどんな会社なのか何も知らなかったけれど、この日にとてつもなくすごい会社だという事を知った。
そして、トオルさんは私の二十歳の誕生日に結婚をする約束を無理やり両親と交わした。
私は…?
あまり物事を深く考えない私は、ま、いいか的なそんな軽い気持ちで結婚する事を決めた。
昔の言葉で言えば玉の輿とか言うらしいけれど、そんなものにはあまり興味はなくて、でも、モデルの仕事は二十歳までと条件をつけられた。
まだ二年ある。
モデルとしての賞味期限もきっとその辺りだし、ちょうどいいかなみたいなそれさえもそんな適当な感じ。
トオルさんは私の事を必ず幸せにすると、私と両親の前でそう約束してくれた。
そして、二十歳の誕生日、オーストラリアにある最高級のホテルで私達は結婚式を挙げた。
青い空、青い海、そして、お金持ちで最高にカッコいいトオルさん…
私って本当に幸せ者だと思う…
私の超一流な新婚生活がこの日から始まった。
最初のコメントを投稿しよう!