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加恋はささやかな夢を見る
私の名前は中山加恋。
二十歳の誕生日に超一流企業に勤める中山トオルさんと結婚した。
なんでそんなに早く結婚しちゃったの?って、たくさんの人に聞かれたけれど、トオルさんの熱量に負けたっていうのが本当のところ。
私とトオルさんが初めての出会ったのは、ある雑誌のグラビア撮影だった。
私は十六歳の頃からモデルの仕事をバイト感覚でやっていて、そんな時、初めて有名雑誌の表紙のモデルをオーディションで勝ち取った。
それが十七歳の夏。
絶対に失敗したくなくて意気揚々とその撮影に臨んでいた私に、トオルさんは一目ぼれをしたらしい。
「三十歳を目前に控えた男が、十七歳の君に一目ぼれなんてあり得ないよな…」
初めてトオルさんと言葉を交わした会話が、こんな甘い囁きだった。
その日を境に、毎日、トオルさんは私のいる撮影所へやって来た。
身長は180㎝以上、173cmある私が隣に立っても見上げるその感覚がすごく好きだった。
100人がいたら100人が認める美男子で、でも、その顔立ちを隠すようにかけている長方形のだてメガネがすごく似合っていて、その頃の私は、大人の雰囲気に包まれたトオルさんに夢中にだった。
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