3.彼

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3.彼

彼女は立ち去ることなく。その場に立っていた。少なくとも、3周終えるまで望みはあるらしい。 池の周り3周とは、彼女と出会った時に彼女が話していたおまじないだった。 「好きな人を思い浮かべながら池の周りを3周するんです。3周目の最後に相手がそこに見えたら晴れておまじない成功!」 それを聞いた時は、頭のおかしい子なのだと思った。 でも、あの時期、俺は退屈していて、面白いと思ったこともまた事実だ。その時は、ただ何となく、この頭の悪そうな子に恋人ができればいいなと思った。 もうすぐ 1周目が終わる。 すれ違う瞬間、彼女と目が合うことは無かった。 構わず2周目を歩き続ける。
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