7.彼

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7.彼

彼女はゆっくり歩く俺を見つめながら、怒っているのか下唇を噛んでいる。 「あと5歩。」 「だめだよ……。」 「何が?俺とまた付き合うのが?」 語尾は声が上ずった。動悸が激しくなる。 彼女は肌寒いのか両手で自分を抱きしめるように腕を組んだ。 「あと、2歩。」 たかが数百メートルの池の周り3周でここまで息が切れるとは、運動不足が祟ったな。 「付き合えないよ。」 あと1歩というところで、彼女は言う。 「…どうして?」 彼女は自分を抱きしめながら、俯く。 「私はあなたに……」 俺も意地悪く最後の一歩を踏み出さなかった。
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