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『we're Men's Dream』 -type AAA-⑤
そっか、思い出した。私たちフェスに行く途中で遭難して、地元の人に助けてもらったんだっけ。
……初めてのフェス。私のベースで会場を快感に包みこみたい。
「マコちん。……フェス、最高のプレイしようね」
「うん。ヌイちゃん」
マコちんが、そう答えると下腹部のあたりに「くぅ」と振動が伝わってきた。マコちんは、おフロで体温がもどったおかげで、いつもどおりにおなかを空かせたんだろう。温まったマコちんのふっくらとしたほっぺは上気していて、くちびるも、つやっつやになっていた。
私はそれを見て、つい衝動的に言う。
「……ねぇねぇ、マコちん。……ちゅーしていい……?」
マコちんは、目をぱちくりとさせたけど、ゆっくりと目を閉じ、くちびるを少しとがらせた。私はマコちんのくちびるに自分のものを重ねる。思っていたよりもあったかくて、やわらかだった。思わず両手のひらでマコちんのほっぺを包み込み、舌を差し入れてしまう。マコちんの前歯に舌先が当たった。でも、すぐにマコちんは私の舌を受け入れてくれた。じっくり数十秒のベーゼ。得意のタンギングを駆使してると、マコちんが少し苦しそうになっていたので、くちびるを離す。ぷはぁ。マコちんが言う。
「ボク、知ってるよ。……これってフレンチ・キスっていうんでしょ。さっすがフランスの血」
そっか、これがフレンチ・キスっていうのか。やっぱり、ママンの血なのかなあ。
お互いのくちびるに、混ざり合った唾液が糸を引いて伝う。朝日に照らされた糸は、虹色に光った。
タンギングの仕上がりは上々。
<了>
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