1・マリア

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家の裏から、コンコンという音が響いている。裏に周り、薪割りをしているルカに声をかけた。 「ルカ。行ってきます!」 「お、もういくのか」 「うん」 「やっぱ俺も行こうか、心配だし。今から髪の毛剃って――」 ルカは短い赤髪を撫であげた。 「大丈夫だって。もう14だよ?」 「ルカはさっさと薪割って、お母さん手伝ってあげてよ。じゃ行ってきます」 「お、おお気をつけてな」 アンナはくるっと踵を返し、家の前でわずかに開いた木々の生茂る坂を下っていった。足取りは軽く、坂を飛ぶように駆けていく。 「知らない人についていくんじゃないぞー」 ルカの声が森に響いた。
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