望先輩と

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次のエリアは カマイルカの水槽 泳ぐスピードが速くて 水槽に近づき過ぎたら見えなくて 遠くから観察しよう 「先輩 遠くから見ていいですか?」 「うん いいよ」 通路の反対側へ移動して 壁にもたれると 先輩は手を離してくれた そして私の前に来て 背中を向けて 私に身体を預ける 私の両手を持って 先輩のお腹へ回す やりたい放題だけど 別に嫌ではない 私が何も言わないから 先輩は段々とエスカレートしていくのが 可愛いから許してしまう 次の水槽は 小さな魚が沢山いて スズメダイや ニシキエビ みんなが知ってる ナンヨウハギ 綺麗な色だなぁ 特徴がある魚をずっと見ていた 下あごにひげがある オジサン ひげは舌の役目をして 味を感じることができると 必要な物を持っている 私も 必要な人間なのか ネガティブな自分はどんどん深みにはまっていく 「友海?」 「は はい」 「行こう」 先輩が引き戻してくれた 一番大きな水槽へ 座って見れる所があって 「先輩 座ってもいいですか?」 「うん」 サメやエイを見て 「自分もあんな風に泳げたら 気持ち良さそうだなと思いません?」 「友海 そんな風に見てたんだ(笑)」 サメやエイは狭い水槽ではなく もっと広い海で泳ぎたいのかな 先輩が腕を組んで 「次 行こう」 「はい」 クラゲの水槽へ 一番気に入ったのが サムクラゲ 傘の中心が黄色くて周りに白っぽくて 目玉焼きみたいなクラゲ じーっと見て 不思議な生き物だけど クラゲから見たら 人間の方が 不思議な生き物なのかな 先輩が私の頬を突っついて 「友海 何か飲みに行こう」 「はい」 水族館を出て お茶を飲むのに カフェへ そこで 一番大きいペンギンを調べて コウテイペンギン エンペラーペンギンとも言うらしい 身長は110cm 凄いなぁ 「友海 スマホばっかりじゃなくて 私としゃべってよ」 「すみません 一番大きいペンギンを調べていたんです」 「ふーん 私より ペンギンなんだ」 頬を膨らませてる 先輩も可愛い 手を先輩の頬へ 親指と人差し指で押して元へ戻す 「笑ってる顔が いいなぁ(笑)」 「友海なんか 知らない」 横を向いて 口を尖らせて こんな純粋に笑えるのは 望先輩だからかな
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