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 女子高の放課後ともなれば。  時間割の拘束から解放された生徒達が、いたる所で笑い声を爆発させる。 「せんせー、さよーならー」 「◯◯っち、また明日ねー」    すれ違う集団に片手を上げ、職員室へ急ぐ。  年功序列の世界が、此処(地方学校)では機能し続けている。  赴任したての新人教師は、一に先回り行動、二に先回り行動。  卒業校にすら空きがないと言われ、ようやく掴んだ職場だ。  みすみす手放すわけにはいかない。   「××大学にはいきません」  喧騒の余韻を吹き飛ばす、澄んだ声。  思わず、足が止まった。
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