星月夜

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夕飯が食べ終わると、僕とママはクリスマスツリーを出して飾り付けした。 オーナメントはリンゴに、小さなプレゼントボックス、杖、靴下。 たくさんあるけど、僕のお気に入りは天使のオーナメント。 ママがフェルトで縫った手作りのオーナメントだ。 ママにそれを飾られないように、僕が一番最初に飾り付ける。 そのことは、毎年の恒例行事だった。 * 午後10時。 ママは今日も遅い。 10時を過ぎると、バラエティー番組は終わってニュース番組が多くなるから、大抵、漫画や学校で借りた本を読む。 今は『ぼくらの七日間戦争』を読んでいる。 中学生のぼくらが悪い大人をやっつけていく様子は、痛快でワクワクする。 図書室には『ぼくら』シリーズが、まだまだたくさんあるからシリーズ読破したい。 本に夢中になっているうちに一時間が過ぎようとしていた。 そのとき、玄関のドアをドンドンと激しく叩く音が聞こえてきた。 ──こんな時間に誰だろう? 僕は少し怖がりながら、玄関に向かう。 ドアを叩く音はずっと続いている。 ゆっくりとドアを開ける。
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