喫茶セマタリー

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 「注文だと? 俺には喫茶店でお茶をしている暇なんて」  なかったのだ。とうに故人となったが、地上に蘇ってしまい、これからなにかしようと思うことは、これといって特になにもないので「いや、頂こう」と、おとこは木製のテーブルに腰をかけた。  「こちらが喫茶セマタリーのメニューで御座います」  女性店員は、テーブルの隅に置かれたメニュー表を男に手渡した。 『喫茶セマタリーは、二十四時間営業でお客さまの注文を承ります。本日のおすすめは、新鮮玉子のふわとろオムライス。無料です』 そう書かれた喫茶店の謳い文句の下には、目玉が飛び出るうまさだにゃん♪ と目玉のないネコが吹き出しで煽っている。  「これを頂こうか。それから飲み物は何にするかな」
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