32人が本棚に入れています
本棚に追加
陽太に会いたい私が出会った、ハルタという犬。保護犬で、里親がなかなか現れなくて、そんな縋るような目で見られたら…。
亡くなった婚約者と同じ名前の犬を飼うって言ったら、両親は何と言うだろう?また更に心配をかけてしまうのだろうか?
だけど、この奇跡のような出会いに私は救われた。
「ハルタ、ウチに来る?」
ワン!と大きく一鳴きしたハルタは、大歓迎とばかりに、またベロンベロンと舐めてくれる。
誰もが二度とは来ない瞬間を生きている。これが運命というものなら、ハルタの為にもう少し生きてみようか。
そう思ったら、ずっと真っ暗だった心の中のトンネルの先が、ほんの少しキラリと光った。
――ねえ陽太、これで良いんだよね?
正解なんて分からない、きっと誰にも。
〈end〉
最初のコメントを投稿しよう!