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死のうと思っていたのかもしれない。
僕は橋の上に立っていた。もう夏がすぐそこまで来ている夜だった。
あてもなくゾンビのように彷徨い歩いて、空が藍色になる頃、辿り着いたのがここだった。
流れ星を掴もうと手を伸ばして、橋の上から身を投げたら、そのまま川に落ちる。
できるだけ、ロマンチックな方法がよかった。
そうすれば、彼女に許される気がした。
僕はきっと見かけよりずっと暗く、激しい川に流されるままに、流されるだろうし。
息が苦しくて、もがくだろう。
それは、今と何もかわらないから、
むしろ、感謝するだろう。
わずかだが、胸の痛みも忘れられる。
苦しいはずなのに、僕の心は穏やかになっていく。
あぁ、楽しみだ。
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