第五章 偽りのラピスラズリ

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朱音のマンションの付近は何台もの赤い大きな消防車が道路一杯に並び、そこを多くの野次馬でごった返していて車は途中で道を阻まれた。 「アレクはどこかに車を。僕はここで降ります」 冬真が車を降りると焦げ臭い臭いが鼻をつき、野次馬がスマートフォンで写真を撮りながら興奮気味に盛り上がっている。 冬真はそんな人間達を横目に路地裏を進み朱音のマンションの近くに来て見上げれば、マンションの一室から火が出たのか、ベランダもそしてその上の階まで火が伸びたことがわかるように白かったはずの壁が真っ黒になっている。 そしてその火の出ていたと思われる部屋は朱音の二つ下の階の部屋で、朱音のベランダの様子はわからないが、放水が未だに続き周囲の地面には大量の水が流れている。
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