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「立てますか?少し先にアレクを車で待たせてます。
もし歩けないなら抱き上げますが」
「あ、歩けます!」
冬真の表情はずっと笑みも無く、何か怒っているようで朱音は慌てて声を出し咳きこむと冬真の目がすっと細くなり、
「とりあえずその抱えているゴミ袋を渡して下さい、捨てたりしませんから。
そして声は出さないで」
そういうと問答無用でゴミ袋を取り上げ小脇に抱えると、朱音の身体を支えながらゆっくりと立たせて再度毛布で朱音を頭から包み腰に手を回しがっちりと掴んで歩き出した。
朱音は毛布がフードのようになって自分の足下が何とか見えるだけ。
外はサイレンの音や騒ぐ人々の声が聞こえているはずなのに、自分のめまぐるしい状況に感情が追いつかない。
少し歩いた先にあった車のドアが開いて、冬真は朱音を先に座らせ隣に冬真も乗り込むとすぐに車は動き出す。
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