第五章 偽りのラピスラズリ

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冬真はスマートフォンを出して健人に電話をかけ、状況と要件を伝えて電話を切ろうとしたら肩に毛布を被ったままの朱音がよりかかり、小さな寝息が聞こえてくる。 冬真は朱音が寝てしまったのを見てため息をつくと、もう一カ所に仕方なく電話をかけた。 「女性の人手を貸して下さい。それと着替えを一式。 えぇ、先日の件手伝いますよ、仕方がありません」 電話を切ってほどなくして洋館の駐車場に着けば、健人が外で待っていた。 後部座席のドアを開けてアレクと健人で抱えて朱音が以前使っていた部屋に運ぶと、今度は洋館のベルが鳴りそこには若い女が二人、荷物を持って立っていた。 「ではよろしく」 「はい」 冬真の言葉に無表情で女が答えると朱音の寝ている部屋に消え、ロビーでそれを見ていた健人がリビングに入り冬真もそれに続く。
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