第五章 偽りのラピスラズリ

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きっとこれから冬真とアレクが入ってくる。 冬真がドアの外から声をかけてきたけど、朱音は夢なのだからと声を出さなかった。 このあと私は冬真さんにこの洋館を出て行くように言われる。 やり直せるなら、あの時に出て行きたくないと言ったのなら変わっていたのだろうかと朱音は部屋に入ってくる冬真とアレクをぼんやり見ていた。 「声をかけたのですが返事が無かったので勝手に入ってきてしまいました、すみません」 なるほど、あの時返事をしないとこんな風に変わるのだなと朱音はじっと冬真を見ていて、冬真は無言のまま自分を見ている朱音に戸惑っていた。 「喉が痛みますか?知り合いの病院で診てもらえるように話してあります。 昨夜から食事も取っていないですし、アレクがスムージーを作ったそうなのでそれを飲んで少しまた寝てから出かけましょう」 冬真が心配そうに自分を覗き込み、既にあの日の冬真の言葉とかなり変わっていることに朱音は首をかしげた。
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