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「首を痛めましたか?枕は以前使っていたのを出してきたのですが」
「・・・・・・あの」
「はい」
「これ、夢ですよね?」
ベッドで寝たまま不安そうな顔をしている朱音に、冬真は何故か笑みを浮かべて椅子を一つ持ってくると朱音の身体を起こす。
「とりあえず飲みましょう」
アレクが紫色のとろっとした液体の入ったグラスを朱音に差し出し、朱音は両手でグラスを握りアレクを見ると漆黒の瞳が何故かさっき居た黒い犬と重なって何だか訳がわからないままスムージーに口をつければ、ヨーグルトドリンクをベースに沢山のベリーが入っているようで適度な甘さと酸っぱさが、喉を通す度に朱音の意識を覚めさせていく。
飲み終えてから顔を上げぽかんと自分を見る朱音に、冬真はやっと目が覚めたのだと思って笑いがこみ上げそうだ。
「朱音さんは昨日マンションで起きた火事に巻き込まれたんです。
避難の際に全身水に濡れてすぐに身体を温める必要があったので連れ帰りました」
朱音は慌てて自分の服を見て、可愛らしいパジャマ姿に目線を落としたまま固まっている。
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