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だがハッとしたような顔をして朱音は顔を俯かせ首を横に振ってから再度顔を上げた。
「ありがとうございます。どこかすぐ家を探します。それまでは安く過ごせる場所に適当にいるので」
「もしカプセルホテルとかを考えているのならやめておいた方がいい」
いえ、そんな立派なとこじゃ無くと言い返そうとしたが冬真の表情を見てそれを飲み込むと、
「色々とご心配おかけしてすみません。ここでまた目を覚ませるとは思いませんでした。
明日には出て行きます。とりあえず一旦戻って必要な物も取ってきたいので」
朱音が笑みを浮かべて言ったのを見て、冬真の取り巻く空気が変わる。
「それは許しません」
平坦な声。
なのに怒りを含んでいるかのようで朱音は思わず身体を強ばらせ、冬真はそれに気が付き自分に驚いていた。
「・・・・・・冬真さん、すみません」
笑みを浮かべていた朱音がその表情を消し謝った。
「私、何度もご迷惑をかけて」
「違うんです、謝るのは僕の方です」
朱音が再度謝罪をしようとしたら、冬真が止める。
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