第五章 偽りのラピスラズリ

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あの人の言うように、人として何か欠けていることも自覚している。 だから自分では無く、大好きなKEITOであり慕っている健人の名前を出せば戻ってくるだろうと冬真は考えたが、朱音は悲しそうな顔をした。 「私は冬真さんのことも信じています。 だってラブラドライトのネックレスを持っているように言ってくれて、ラピスラズリのブローチもきっとジェムだったんですよね? 知らない人についていかないように注意してくれたのについていったのは私です、私が悪いんです」 「ですから朱音さんは何も悪くないと」 「いえ私のせいです」 「朱音さんは人が良すぎます、僕に問題が」 「冬真さんの言いつけを守らなかった私が悪いんです」 「違います、それは」 ムキになっている朱音を落ち着かせるため最初冬真はゆっくりと答えていたはずが段々早口になってしまい、朱音は急に吹き出した。 逆に冬真はそんな朱音を見てため息をつく。
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