明るくなる薬

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 K博士は客観的に見て自分が暗いと自覚していた。しかし、それはコンテンポラリーな価値観に従って判断するからであって、へらへらとした明るさ、取りも直さず見せ掛けの明るさを持て囃し誇示する人間と違って内なる明るさを持っていた。それなのにいつも愛想が悪くて暗い人だわと妻に思われ、明るくなってと四六時中、言われていたK博士は、自分が明るくなる薬の発明に日夜、取り組んでいた。
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