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声のした方へ振り向くと、赤い髪に同色の瞳の男。
さらにその後ろから金髪に赤髪の男と同じ赤の瞳の少年がこちらを凝視していた。
よく見れば二人とも角が生えており、どちらも人間ではない模様。
「あ、君たちここがどこか分かる?気付いたらここにいて...」
「本物だ...セイレーン様が...実在した...」
私の声が届いていないのか、遮るように赤髪の男が呟いた。
そして、現実を受け入れられていないかのようなフラフラとした足取りでゆっくりと近づいてきた。
次の瞬間、近づいてきた二人は拳を左胸にあてて頭を下げた。
「とっ、突然の失礼を承知で、伝説のセイレーン様にお願いがございます!」
伝説...とな?
私に言っているのだろうか...流石の私も同様を隠せない。
「ちょ、ちょっと待って、まずは話しをさせて?私からも聞きたいこととか沢山あるの!」
「...兄上」
慌てながら話を聞くよう促すと、金髪の少年が赤髪の男の服の裾を引っ張り、二人は何かゴソゴソと何かし始めた。
(ていうか二人は兄弟だったのね...キリッとしたイケメンと儚げ美少年...
驚くほど似てねえ...)
どっちも顔偏差値は馬鹿みたいに高いけど、と心の中で付け足すと、金髪の少年がこちらに話しかけてきた。
「時間を頂戴してしまい申し訳ありません。
実は兄は数年ほど前から耳が聞こえなく...
その、お話を聞かせて貰ってもよろしいでしょうか」
なるほど、納得がいった。
ゴソゴソしていたのは手に文字か何かで私の言葉を赤髪の男に伝えていたのだろう。
「...わかった。とりあえず君たちと話がしたいから、後で全部その人に伝えてくれる?
あと立ってると距離遠いから地面に座れる?」
「あ、ハイ!
すみません、見下ろすような形になってしまって」
快く承諾した少年がこの会話を兄に伝え、少し待っているように、とも伝えてもらった。
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