転生したっぽいけど人間じゃなかった。

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「私ね、実はさっき気がついたばかりで... セイレーンとしてはまだ何もわからないの。 だから私のこと、色々教えてくれない?」 「誕生されたばかりで... それは申し訳ございませんでした。」 それから少年から聞いた話を要約するには、私はまず「伝説の生き物」ということが大前提で。 まあそこにびっくりなんだけど、驚いている間もなく不思議な設定がつらつらと並べられていく。 ・基本的にセイレーンは不老不死である ・体液や肉体、魂等全てにおいて万能薬になる ・目撃情報はたった一度、数百年前である とにかくこのチートぶりには私も心の中で苦笑いしていた。 (セイレーンってそんな神秘的なものなんだ... あ待って見つかったら高値で売り出されない?どっかに監禁して一生奴隷とかない??) と、そんな不安は次の一言で拭われた。 「誰もがそんな力を欲し、捕らえようと目論みましたが...探せば探すほどセイレーンは見つからず、ついにはおとぎ話となり語り継がれるようになりました。 一説では、心正しきものにしか見えない、など記述されておりました。」 (なるほど安心) そんな風に改めて転生(?)とファンタジーを噛みしめていると、兄への説明が終わったらしき少年が座ったまま、先程と同じように胸に拳をあてて頭を下げてきた。 流れから察するに土下座のようなものだろうか。 「どうかお願いです!セイレーン様の血を少し...ほんの一滴でも分けてもらえれば!! 兄の耳を治してやりたいのです!」 聞けばこの二人、数年前人間に集落を襲われて家族をなくし、兄は聴覚を、少年は味覚を失ったらしい。 敵に魔術使いがいて呪いをかけられたんだそう。 (いや人間何してくれとんじゃい!! こんないたいけな美少年とイケメンを!!) 「あれ、集落って他の人達は?」 「...全員散り散りになって、別の集落に暮らす仲間の元へ行きました。 僕たちは野生で生きていくのには厳しいので、呪いを解く手がかりを探しに旅をしてここまで来ました。」 色々と思い出したのか、ぐっと堪えるように話してくれた。 「...うん、話させてごめんね いいよ、血なら少しくらいなくなっても大丈夫だし」 池の側に落ちていた手頃な石を手にとって、指先を切る。 わー血が光ってるー 私の回りにいたキラキラが指先に集中してる気がする。 ふと気がついて尋ねる。 「これって直接いったほうが良い...?」 「あ、ハイ。その方が手っ取り早いですし効果的にも...」 「そっか、そうだね...」 今めっちゃポーカーフェイスしてるけど内心バックバクだよ!? え?指から直接!?咥えさせるの!? ちょっと待って心の準備が((
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