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残った弟くんは何をしているのかというと、後ろの壁をひたすら掘りぬいている。
居住スペースを確保するためらしい。
ちなみに素手とか道具ではなく魔法で、だ。
魔法がある...これぞファンタジー!!
と心の中で大興奮していると、目の前に角の立派な豚さんが。
「きゃあああああ!?」
びっくりして叫ぶと、豚の後ろから兄の方の頭がひょっこり出てきた。
「だっ、大丈夫です!もう死んでいます!
驚かせてしまい申し訳ありません...
今日の晩飯が捕れたので捌いてきます
池の水、頂きますね」
「あ、あぁうん、どうぞ...」
一人だけなにもしなくて罪悪感が芽生えてきた頃、ふと私にも魔法が使えるのではと思いまたステータス画面を見てみる。
魔法使用:可
属性:水属性
使用可能属性:全属性
健康状態:良好
なるほど私はみずタイプね...ってちょっと危ないかな。
(水っていったら...昔テレビで、水圧を利用して鉄を切断する映像とかあったよね)
と想像していると、頭に言葉が浮かんだ。
体の中に渦巻く"何か゛を感覚で感じる。
手を前に向け、その言葉を口に出す。
「ウォータービーム...」
すると物凄い音と共に手の先から凄い勢いで水が吹き出し、オーガの弟の方が削っていた壁にあたり、豪快な音をたてながらどんどん壁が削れていく。
「すごっ...けど危ない...!!
とっ、止まれ!!!」
叫んだ瞬間手から伝わる振動、勢いが消え、驚きと脱力感が残った。
「だっ、大丈夫ですか!?セイレーン様!!」
いきなりとんでもない事をしでかしたのに、真っ先にこちらの安全確認をしてくれるとは...できた人(鬼)だね...
「ごめんごめん、魔法が使えそうでつい使ってみたくて...
ごめんね、弟くん。怪我なかった?」
「僕は全然!大丈夫です!
ただ、あんな勢いの魔法を出せば魔力が...って大丈夫そう、ですね...」
(セイレーンってこんな特別な生き物だったか...?)
と考えていると、私の作った大穴によって丁度良いスペースが確保できたので、地面を整えて二人の荷物を運んだ。
私はというと、先程のウォータービームを改良し゛ウォーターショット゛という水弾のようなものを自作していた。
そしてそれらを巧みに駆使して、側にあった木をなぎ倒し横幅60cm、縦180cm、深さ40cmほどの水槽をつくった。
それを洞窟の中へ運び、中にまたまた(元々あったかもしれないけど)自作した魔法゛ウォーターボール゛で一杯分の水を中にぶちまける。
これで私の居住スペースはバッチリ確保できた。
一日に必要とする水はわりと少なく、体からは老廃物もでないのでこまめに水を変える必要もないだろう。
と言ってもまあ綺麗な水の方が居心地がいいため池を少し広げて距離的に少し近づけておいた。
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