9人が本棚に入れています
本棚に追加
そんな自分勝手なゴタゴタをしている間に弟くんは火をおこした。
下半身は魚だが水に浸かっているため、火の影響は恐怖も乾きもあまりない。
暫くはその日暮らしだな、と考えその日は眠りについた。
こんな感じで、衣食住の食と住は「仮」としてだがどうにかなった。
だが衣服はといえば、私はシャツ一枚。
オーガ兄弟は放浪していた間の野営グッズや布数枚しか所持しておらず、服も数枚を着回していたため「衣」がない。
現状衣服は暫くはなくても機能面では問題はないと思う。
だがしかし魔物と不老不死の生き物がいる、ということで暮らしは長期的なものとなる。
そこで衣食住全ての強化が必要、という事で何かアテがないかと考えてみる...が、集落から追い出されたオーガ二人と産まれたばかりの私。
(あれっ詰んでね?)
という考えにたどり着き、流石に何か行動を起こし始めねばと思い二人を呼び寄せると、森の奥から物凄い音が聞こえてきた。
凄いスピードでこちらに近づいてくるのを感じ、三人で戦闘態勢に入る。
すると森から悲鳴をあげながら走ってでてきたのは小太りの中年くらいの髭をはやした男だった。
「キシェェェエエアアア!!!」
聞いたこともないような恐ろしい何かの鳴き声が聞こえる。
鳴き声から数瞬遅れて、体長5mはありそうな赤く、火をまとった大きな蟻の化け物がそこにいた。
「」
もうびっくりして声すら出ない。
ずっと「ファンタジーな世界だなあ」とかは思っていたが、先日兄の方が狩ってきた豚でさえ恐ろしかったのに今度は体長5mの蟻だ。
「生まれ変わったけどもう死にそう...(泣)」
最初のコメントを投稿しよう!