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待ってくれ僕を置き去りにしないで…
寒い冬の日に抱き抱えた僕を誰かに渡して居なくなっていく母の姿。
雪に埋もれて無くなっていく…
それは寒い寒い雪の日。
※※※※※※
斜め下を見下ろすと、くるんとした眼の彼女が見上げていた。
大人の僕が手に入れた温もり。日の差す春の木陰のようなやさしい時間。
つかの間の幸せ。彼女とともに過ごした時。
さようなら。さようならなのに、そう言わず、これでお別れ、と他は特段何も言わず
背を向けて去った彼女。
閉じられた固いドア。
そして今。1人きりで歩く街並み。
繁華街へでると誰にともなく飾られた木やビルの窓や家々の戸口が目に痛々しく光を落としている。
頭痛が起こりそうだ。
何が悲しいかはその光や手の混んだ装飾が自分のためのものでないことだ。
街なかにぼわんと浮かぶ光を灯した木はそれでも美しい。
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