6、相談の受け方

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6、相談の受け方

 正直に言うと、とてつもなく疲れた。玉木さんは今まで、どれだけ悪口を言われてきたんだろう。その言われてきた分が、今ここで爆発してしまったんだろうなぁ。 「ごめんなさい……ずっと一人で話してた……」 「ううん、大丈夫」  言いたいことはいくつかあった。けど、ここで言うのは間違いだと思う。 「さっき、新藤君は優しいって言ってくれた。でもね、今のを聞いて分かったと思うけど、私は……弱いんだ」 「……意見、言っていいかな?」 「……うん」  例え、間違いであったとしてもこれは言わないとかな。このタイミングなら言いやすいかも。 「玉木さんは、強いし優しいよ」 「え?」 「小学生の頃から悪口を言われてきたんでしょう? 誰かに相談しても良かったのに、ずっと一人で耐えてきた。それって、玉木さんが強い人じゃないとできないよ」 「……」 「途中で誰かのせいにすることもあった。けど、最終的に自分が弱いからという理由になった。自分のせいにするのは、玉木さんが優しい証拠だよ」 「……ありがとう」  泣いている。どうしよう……褒め言葉のつもりだったけど、駄目だったのか? 「あ……ごめん。余計……だよね」 「……ううん、違うの……新藤君」 「……っと言うと?」 「私、ここまで的確に褒められたことがなかった。だからさ……ものすごく嬉しいの」 「それは良かった」 「この涙は、さっきまでの悲しい涙じゃない。幸せな涙……本当にありがとう」  ここまでの感謝を笑顔で言われたことがあっただろうか。  こういう風に誰かに相談されるのは、初めてじゃない。  悩んでいる人の力になりたくて、よく人の相談を受けていた。相談してくれる人はいつも浮かない顔で「ありがとう」と言う。少しは力になれたんだと思いたい。でもさ、そんな顔で「ありがとう」と言われると胸が痛くなるよ。「ああ、僕はこの人を助けることができなかった……」とか考えちゃうよ。  こんなことを考えていると、いつも泣きそうになる……悲しくなる……寂しくなる。だけど、玉木さんは泣いているのに笑顔で「ありがとう」と言ってくれた。  それが、たまらなく嬉しい。 「玉木さんの力に少しでもなれたのなら、とても嬉しいよ」 「充分過ぎるぐらい力になってる。本当にありがとう。それとね。これからは私のことを詩音って呼んで欲しい。良いかな?」 「分かった。それじゃあ、詩音。僕のこともこれからは正樹って呼んで」 「分かった! よろしくね、正樹!」  外はあいにくの曇りだ。なのに目の前には、綺麗な青空が広がっている。 「ごめん! 遅れた! 新藤君はいる?」  そういえば、先生いなかったんだっけ……。  タイミング悪くないか!?
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