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3、学校に行くことになった
学校で三時間目が始まって、十分経った頃。僕は、父さんに車で学校まで送ってもらうことになった。
「準備はできたか?」
「う……」
「じゃあ、行こう」
「……ん」
僕の意見を聞く気はなかったらしい。「うん」という返事すらまともに言わせてくれないとは……。ということは、拒否権はなかったということか。
学校の校門の前まで、僕は連行された。いや、言い方が悪い。送って行ってもらった。「先生に映画の話をされ、学校に行く決意を固めた!」とかではない。どうやら、うちの学校には相談室というものがあるらしい。その相談室の先生がうちに電話してきた。それで、相談室の存在を知った父さんは、僕を学校まで連行したということだ…………意味的に合ってるから、連行でいいはずだ。ていうか、先生と話をした日の翌日に学校に行くことになるなんて、タイミングが良すぎないか?
はぁ、怖い。行きたくない。帰りたい。
「正樹、下駄箱のあたりで先生が待っているはずだから、とりあえず行ってこい。もし、先生がいなかったら相談室に勝手に入っていいそうだ」
「先生って、相談室の先生ってこと?」
「そうだ」
「……相談室がどこにあるかわからなかった場合は?」
帰りたい。ものすごく帰りたい。
「下駄箱のところに待機していろ。だけど、今日はひどく寒いから相談室に入ったほうがいいと思うけどな」
「うっ……確かに……」
僕の考えはお見通しだったのだろう。父さんは、相談室に入ることを促している。わかったよ。行けばいいんだろう? 行けば……。
車から降りて、父さんに礼を言ってから校門に入った。
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