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1.始まりだけど終わり
今日は卒業式。
私は中学2年生だから別に関係の無い事なんだけれど。
今の私にとっては一大イベントだ。
今___私は恋をしている。
3年生の先輩に。
だからその先輩と会える最後の日。
(今日は…。想いを伝えたい。)
そう思って書いてきた手紙。
渡そうと思うと怖くなって手が震える。
封筒に視線を落とすと
この2年間の思い出が蘇ってくる。
入学式の日に緊張していた私を励ましてくれた先輩。一目惚れしちゃったんだよね。
__部活で上手く行かなかった日は
電話で話を聞いてくれた。
__私が泣いている日は
それを知っているのかのようにLINEが来た。
__テスト前は一緒に勉強会も開いた。
そうやって仲良くなっていくうちに
私はどんどん
どんどん好きになっていった。
でも私の恋が叶うことは無いことを知ったのは…いつもより寒い冬の日だった。
クリスマス前で浮かれていた私は
初めて先輩と恋バナをした。
「先輩は好きな人いるんですか?」
軽く聞いたつもりだったのに。
先輩は顔を真っ赤にして誰が好きなのかを教えてくれた。写真も見せてくれた。
携帯に写っていたのはとても綺麗な
私の知らない女の人だった。
「この人だよ、笑」
照れ笑いした先輩の顔は
今までの中で見たことのないくらい…
これからも…私が見ることの出来ないであろうくらいの満面の笑みだった。
(恋って素敵…。だけど。)
その後私が
なんて返したのかは覚えていない。
ショックすぎて悲しすぎて何も覚えていない。けれど先輩のあの笑顔は胸と頭に焼き付いていた。
そんな事があってからも
私は恋をやめられなかった。
日に日に好きになっていく。
先輩以外、見えなくなっていく。
自分で自分が怖くなるほどだった。
いつか自分では無くなってしまいそうだった。
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