寂しい世界に2人きり

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最初は、ほんの出来心だった。 同じ学部の女の子とふざけて手を握り合った。 それを偶然見ていた彼女がヤキモチを焼く姿が可愛くて、つい同じことを繰り返してしまった。 高校時代、俺が浮気をすると大抵の女の子は怒るか泣くかして俺を非難した。 だけど彼女は、困ったように笑いながら「もうしないでね」と云って許してくれる。そんな彼女の優しさに甘えていたんだ。 もちろん罪悪感もあった。 何でこんなことしてしまったんだろうって、自分を責めたりもした。 だけど……彼女はきっと許してくれる。俺の側に居てくれる。 そんな確信があった。 それでも、彼女が俺から離れていってしまう一抹の不安は拭い切れなかったので、俺から同棲を提案したりした。 自分でも最低だって分かっていたけれど……そんな自分の姿から目を背け続けてきた。 ――だから、とうとう罰が当たったのかもしれない。
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