寂しい世界に2人きり

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*** 家に帰れば、いつも彼女が笑顔で出迎えてくれる。 今日は特に予定もないと云っていたので、先に帰宅しているはずだ。 ――だけど、飲み会を終えて帰宅すれば部屋は真っ暗で、彼女の姿はどこにも見えない。そして、洋服や鞄といった彼女の私物が幾らか減っていることが分かる。 今一度室内を見渡せば、テーブルの上に白い紙切れが1枚ポツンと置いてある。 震える手で手にすれば、そこには彼女の筆跡が残されていた。 ――俺の手から、ひらりと紙切れが滑り落ちた。 今日は、サークルの飲み会だったんじゃなかったの? “もうしない”って言葉、信じてたよ。 さようなら。 彼女には、サークルで飲み会があると伝えていた。 だから帰りが遅くなる、と。 ――俺は、彼女に嘘をついていた。 本当はサークルで飲み会なんてなかった。同期の女の子に誘われて、2人きりで飲みに行ったのだ。 彼女は、どこでこの嘘に気付いたのだろうか。 ……否、もしかしたら、初めから信じてなどいなかったのかもしれない。 当たり前だ。 俺は、何度も彼女に嘘をついてきたのだから。
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