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リセットしたかった。
信じていたのに。
悲痛なまで膨らんだ想いが、弾け散ってしまった。
…まさかこんな仕打ちが待っているとは…。
私には婚約者…だと思っていた彼氏がいた。
長身で洗練されたスレンダーな彼は、スーツが良く似合い、整った顔立ちで、仕事が良くでき、博識でまさに非の打ち所がなかった。
そのため社内でも、社外でも密かに彼に好意を寄せる女性はたくさんいたはず。
なのに、どういう訳か私なんかと付き合っていた。
顔もスタイルも並みかそれ以下だし、化粧もそこそこで、髪を振り乱し、なりふり構わず仕事に没頭するような私と。
告白された時は、悪い冗談かと思った。
「ふざけないで。」って言ったら、彼は笑いながら、そんな真面目で天然な所が面白いって。
頑張り屋な所が好きだって言ってくれた。
素直に嬉しかったのに。
私とは対照的に何をやっても目立つ彼。
そんな彼は、私生活について秘密主義を貫き通すもんだから、ミステリアスだって、ますます女子からもてはやされた。
そんな感じだから私と付き合っている事に気づく者は誰もいなかったはず。
「仕事が軌道に乗ったら、いずれ皆にはサプライズで結婚の発表をするつもりだよ。だから、もう少し待ってて。」
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