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私、帰らないなんて言ってないのに。
彼は言葉を続けた。
「あなたは覚えていないようだけど、以前話してくれました。
良い事もヤな事も包み込んでくれる私の秘密のパワースポットが地元にあるって。
まだ暁の頃に家を出て、山から日が昇る朝焼けのキレイな時に橋の上からキラキラ光る川面を眺めながら風に当たる。
この景色を独り占めしちゃうんだよ。
辛いときは悩みが小さな事に思える。
幸せな時はそのお日様の温もりのパワーを分けてもらって、もっと元気になっちゃうって。
いつか大切な人とその光を一緒に浴びたいって。
大切な人はオレじゃないってのはキツかったけど、アイツよりオレの方が先にそんな秘密の場所を打ち明けてもらえたって思うと嬉しかった。
橋、川、山から昇る朝日。
そして、電車の話も出てきたと思う。
これらが、キーワード。
探して、探して。ここにたどり着いてあなたを見つけました。
オレ、朝は弱いんだけど。
あなたのそんな凛とした所が…。
いや…。」
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