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第二節 魔女の掟 その4
「それでは、あなた方に罰を言い渡しますが、これも古の掟です」
笹乃宮の言葉に神蔵も燦宮も緊張し、背筋を伸ばし、両手の拳を太ももの上でギュッと握り締めた。
「これから二人は夫婦として、日之本の国の北から南へと九つの場所に行き、そこで試煉と対峙し、それを解決しなければなりません」
笹乃宮は燦宮と神蔵の二人を交互に見た。
「その場所は追って伝えますが、それを1年の間になさねばなりません。それができなかった場合には...二人揃って蛙の置物の禁固刑5年となり、その後は、二人ともに奴隷魔女として一生を過ごさなければなりません」
神蔵は、笹乃宮の言う奴隷魔女の暮らしがどんなものかは分からなかったが、蛙の置物の禁固刑5年については、考えただけでもぞっとした。
「そして、、、この1年の間は、夫婦の夜の営みにおいて、男根と女陰の交わりだけは禁止されています。また、もちろん他の異性との交わりも禁止されていますけれど、、、
もし、その禁を破れば、その場で禁固刑へと移行します。
今は、まだ卯月ですが、この1年の期間は、次の皐月から始まります。
それまでに準備をするように...ちなみに、逃げようなどとしたら、その場で禁固刑へと移行しますので、そのつもりでいてください」
笹乃宮はきつい言葉で締めくくった。
「あ、あの」
神蔵はうろたえながらも聞いた。
「もし、1年の間に九つの試煉を解決した場合にはどうなるんですか?」
「ええ。その場合は、、、二人でまた魔女の修行に戻ることになります。禁固刑はもう無くなりますよ。
ただし、神蔵さん、あなたは一からの修行なので、そこから7年間修行して、最終的に、燦宮は丙極の魔女に、あなたは、、、うまくいって、丙極の魔術師になるのでしょうかね?、、、
ちなみに、もし、あなたが何か他に助かる方法があるのではないかとお考えなら、その考えは一切捨て去ってください。 あなたに他の選択肢はまったく無いのですから...」
最後に笹乃宮は軽く嘲笑するような表情になった。
(これは、、、大変なことになった、、、本当に、、、どうしよう)
神蔵はいきなりの罰の宣告に顔面蒼白となってしまった。
「わかりました。お師匠様」
そこで燦宮が口を開いた。
「必ず、この1年の間に神蔵さんと九つの試煉を解決してみせます!」
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