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4階の長い廊下の途中で、夢乃は立ち止まった。
その正面となる教室のドアを開きながら、意外そうに彼女はつぶやく。
「――あら? 委員長ったら、教室にはきているみたいね。だったらなんで、職員室にこなかったのかしら……」
そのまま、つかつかと教室内へ入っていった彼女のあとを、わたしも少し遅れてついていく。
そんなわたしたちの気配に、窓際でひとり、背をこちらに向けていた男子生徒は、気づいたようだ。
彼は、ゆっくりと振り向いた。
「委員長。あなた、今日の朝一番に職員室へいくようにと、先生に言われていたでしょう?」
正面に立って指を突きつけながらそう口にした夢乃へ、彼は視線を向ける。
その彼の顔を見たわたしは、驚きのあまり、そのまま凝視してしまった。
なぜなら、その彼は昨夜、マンションの裏道にいた男の子だったからだ。
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