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男の子の姿を見つけたわたしは、片側へ寄せていたカーテンへジリジリとにじり寄る。
身体を隠しながら、そっと興味本位で彼を観察した。
身長は、それほど高くない。
わたしより年下なのだろうか。
見た目の印象は、真面目そうな中学生って感じだ。
手ぶらだから、塾帰りってわけでもなさそう。
遠目に見る限り、顔はけっこう整っている。
闇夜に溶ける黒髪は短くはないが、そんなに長くもない。
白っぽい上着に濃い色のジーンズ……。
でも、もっと細かく観察するには、街灯の頼りない明かりだけじゃ足りない。
見つめながらそこまで考えていたとき、街灯の下で、おもむろに彼が上着を脱いだ。
そして裏返すと、黒っぽい色を表に向けて袖を通しなおす。
夜だから安全のために、いままで上着を明るめの目立つ色にしていたに違いない。
なのに、なぜわざわざ見えにくい色へと変えたのだろう……?
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