第1章 出会い編  プロローグ

5/7
236人が本棚に入れています
本棚に追加
/1337ページ
 男の子の姿を見つけたわたしは、片側へ寄せていたカーテンへジリジリとにじり寄る。  身体を隠しながら、そっと興味本位で彼を観察した。  身長は、それほど高くない。  わたしより年下なのだろうか。  見た目の印象は、真面目そうな中学生って感じだ。  手ぶらだから、塾帰りってわけでもなさそう。  遠目に見る限り、顔はけっこう整っている。  闇夜に溶ける黒髪は短くはないが、そんなに長くもない。  白っぽい上着に濃い色のジーンズ……。  でも、もっと細かく観察するには、街灯の頼りない明かりだけじゃ足りない。  見つめながらそこまで考えていたとき、街灯の下で、おもむろに彼が上着を脱いだ。  そして裏返すと、黒っぽい色を表に向けて袖を通しなおす。  夜だから安全のために、いままで上着を明るめの目立つ色にしていたに違いない。  なのに、なぜわざわざ見えにくい色へと変えたのだろう……?
/1337ページ

最初のコメントを投稿しよう!