魔法使いの秘密基地

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 「これなら、どこに何を書いたのか、迷うことはないな」  ゲタンワ・シュレディンガーは飛び出す絵本をぱらぱらと捲りながら、目を丸くして驚いた。 白紙の紙から白紙の紙を召喚し、一冊の本を作ってしまう魔法使いが友人にいたというのも驚くには充分だが、それを手にした読者が作者に変わるという話は、これまで聞いたことがない。  「飛び出す絵本を使う時に、気を付けることはある?」  タックン・ドリテルがペイジに訊く。  「この本を見て欲しい」ペイジは『闇の魔法使いたち』というぶ厚い本をテーブルに広げる。 そこには、召喚魔法の悪用により、逮捕された魔法使いたちのことが、ずらずらと記載されていた。 大勢の兵士を召喚してアブラスタの城を攻撃したもの。たくさんの武器を召喚し、兵士たちに売ったもの。複数の人間を召喚して大きな宗教を作ったもの。人気の商品をスケッチによりコピーを作った贋作師など。こういった使い方をすると、逮捕されてしまうといったことが書かれている。  「勿論、召喚魔法を悪いことに使ってはいけないことは、知っているだろうけれど、ぼくが言いたいのは、その次だ」  ペイジは本の中の『お宝を召喚する紙が何者かに盗まれた事件』を指差した。
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