おめでとう、祝福できるよ

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昨夜、隣の席の大矢くんたちが夢に出てきた。 夢に出てくるのは、その人が自分に会いたいからなんだって、ねえ。まつりちゃんが言っていた。 まつりちゃんは、髪の毛がふわふわゆるかなカールがかかっていて、とても可愛い。 私の髪は、癖毛で、もわもわごわごわしていて、一本一本が太くて無駄に強い。 私の身体は軟弱で、肉付きも悪い手足はすぐに折れてしまいそうで、しかも肌は蒼白い。見るからに健康的ではない。 だったら、髪の毛も線が細くて直毛だったら良いのに。 さらさら、真っ直ぐな黒髪は、病弱な女の子の必須項目でしょう。 お世辞にもきれいな顔とは言えない女の子でも、美しい髪を持っているだけで補正効果はすごいから。 遠目で見たら美人、雰囲気美人でも、十分じゃない。 朝、寝癖を直すのに、苦労しているの。いや、苦労するのにも疲れた私は、大人しく朝シャンをしている。 水で、ざぶさぶ念入りにごわつきを、絡まりを解くように解すように、髪を丁寧に梳いていく。 そうすると、ほら。 鏡に映るのは、見事なストレートヘアの出来上がり。 なんて、ドライヤーで乾かせば、すぐに、もわ、もわんって溢れてくるのだけれども。 それでも、少しぐらい夢を見たって良いでしょう。 私だって、夢を見たって許されるでしょう。
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