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身分違いの恋
それは、身分制度がまだこの国にあったころの話。
彼女は貴族の使用人として屋敷に仕えていた。メイドと言えば聞こえはいいが、実態はただの雑用係に過ぎなかった。
ところが、彼女とその屋敷の跡取り息子が恋に落ちて、何度もこっそりと逢瀬を重ねた。しかし、その息子は遠くの家との縁談が決まってしまった。
「いつか、必ず迎えに来るから……」
そう言って彼は去って行き、二度とこの街に戻ることは無かった。失意のあまり彼女は、この橋から川に身を投げてしまった。
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