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浅い眠りを繰り返しているうちに深い闇にすとんと堕ちた。
肩を揺さぶられて目を覚ますと、心配そうな顔が覗き込んでいる。
「大丈夫?魘されてたよ」
彰は私に乾いたタオルとペットボトルの水を渡すと、空調の温度を下げた。
「怖い夢でも見た?無理ないけど」
「そうかな。覚えてない」
「あと3日か。つらかったら飲んでもいいんだよ」
「ホワイト?」
「うん。この薬のことは玲が一番良くわかっているだろ」
「彰だって…まだ飲んでない」
「うん…もうちょっと世界がどうなるのか見たいなって。世界のことなんてもうわかりようがないけどな」
そう言って笑う。
この部屋に二人でいると、もう他には誰もいないんじゃないかと思う時がある。
外へ出るのが怖かった。だけどまだ世の中は不思議なほど秩序を保っている。
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