扇子と酒

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男はその場から動けずにいた。 ドアの隙間から見える光景が信じられず、とても現実だとは思えない。 あの少年は最近老人ー屋敷の主人ーが養子として迎え入れた子だ。整った顔立ちに色白で華奢な体躯から、幼いながらも上品な第一印象を与える子だった。その子が……。あろうことか老人の閨でこんな仕置きを受けているなどと、一体誰が想像するだろう。 また、少年の生まれ持つ雰囲気が純真であればあるほど、上品で美しければ美しいほど、今目の前にある光景が異様な淫猥さを以って男の目を襲うのだった。 いけない…… こんなもの…… 見ては駄目だ…… 回らない頭でそう自分に言い聞かせるが、男の目はもはや寝台の上の少年に釘付けになっていた。
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