アキさんとワンピース

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 神社の階段に悠と男の人が腰を下ろした。「おいしい?」と男の人が聞き、悠は何も答えずにブルーハワイ味のかき氷を食べていた。 「名前、なんていうの」 「知らない人に名前を教える義務はありません」 「かき氷をあげた仲を知らないっていうのはちょっとなぁ」  私は階段の上に立って、片付けられていくお祭りのあとを見ていた。「奈々です」と答えると、男の人は「ナナ、いいね」と言った。 「君の名前はなんていうの」  男の人は悠に尋ねる。しかし悠はブルーハワイに夢中で何も答えない。私が代わりに「悠」と言うと、「ユウ」と男の人が音を繰り返した。 「あなたこそ、なんて名前なんですか」  私が聞くと「ナナ、ユウ」と私たち兄弟の名前を繰り返した。話を聞いているんだろうか。 「アキ」  突然その二音が耳に届いて驚く。なんか唐突な人だなぁと思う。 「アキさん、さっきはありが――」「浴衣は着てないの」  私がお礼を言おうとしたら、さえぎってそんなことを聞かれたので、私はいらっとして「浴衣見せる人なんていませんから」と強い口調で言った。 「そっかぁ、ユウくんは甚平なのにね。……そうだ、これいる? 七つ葉のクローバー」  差し出されて、一瞬興味がわいたが、この人にのせられるのはなんか嫌だと思って「いらないです」と答えた。
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