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「もうすぐ文化祭ですが、クラスの出し物はなににするか考えて下さい」
そうか、もうそんな季節か。
ぼけーっと委員長が話すことを聞いていた。
「ねー亮伍、なにがしたい?メイドカフェとか?」
後ろの席に座っている尚兎はちゃんと話し合いに参加しているようだ。
「は?めんどくせー」
「えーミニスカ好きなんでしょ?」
「別に。適当にできるのでよくね?」
「じゃー、はーい!」
尚兎は勢いよく手を挙げた。
「柴田くん、どうぞ」
「俺は~亮伍演出舞台がいいと思いまーす!」
「いいかも!」
「面白そうじゃん!」
クラスのみんなは賛成してしまった。ので、つっこんだ。
「お、おいおい、やるわけねぇよ。もっと無難のにしろって」
「え、じゃあ、なんだろう?」
委員長が決めてほしそうにこちらを見ている。
「えー、あれだ。カフェ的な?」
適当に発言しておいた。
「おー!いいね!」
「やろうよ!」
再び賛成されるという。
「それ俺先に言ったよ亮伍~」
と尚兎につっこまれたけど、気にしない。
カフェに決定した。そんな昼休みに、隣にある高校の学生が教室に乱入してきた。
「柴田尚兎くーん!」
「うわ、最悪、憲緒じゃーん」
こいつは近所に住む高校生の有木憲緒さんだ。
「学祭でボーカルやってよ!」
「えーめんどくせー」
中高と合同でするからなぁ。去年憲緒さんのバンドでボーカルやった尚兎は、大変評判がよかった。
「お願いだよ~。ほら、お前の同級生のトラにも言われただろ?」
「知らん!」
「お、おい、そんな」
同級生のトラはおそらく尚兎に言い出せなかったんだろうな。トラは軽音部で憲緒さんの後輩である。
「頼むよ~」
「やだ~。女の子寄ってきてうざったいんだよね~」
「いや、いいじゃねぇか!な、亮伍くん!」
困ったときは俺に話を振る。
「まぁ、そうだけど。尚兎はそれじゃ不満らしい」
「じゃあどうすりゃいいんだ?」
「そーだなぁ!あ、お金くれたらやってやってもいいよ?」
「なんてやつだ!し、しかし…う、しょうがねえ!2000円でどうだ!」
「ありえな。やるわけねぇよそんなんじゃ~」
「じゃあ、5000?」
「いや、もっとだよ。練習もあるしー」
「じゃあ、6000?」
「はぁ?すくねーよ!」
高校生にカツアゲしてる尚兎。なんて悪い子。
なので、
「おい、その辺にしとけって」
「えー亮伍6000円でいいの?」
「いや、時給にしたらどうだろう?」
「え、時給制?で、いくらにすればいいんだ?」
憲緒さんは尋ねた。いや、お前が決めろって話だけど。
「800円」
「えーすくねーよ!」
尚兎は反発したけど。
「いいでしょ?憲緒さん」
「くっ、しゃあねぇー!了解した!だからやってくれよ尚兎!いいな!」
「ふえーい」
なんというだらしない返事。
その返事を聞いて納得して帰る憲緒。
「ねー800円とかいいの?すくねーよ!」
「大丈夫。お前が放課後毎日練習やるんだろ?2時間程」
「そーだよ?」
「そしたら、さっきの額以上もらえるって」
「まじかよ!うえーい!」
「でも、お前が練習サボったらもらえないけどな」
「うわ!そ~だよ!えー練習とかだり~」
「金のために頑張れ」
「え~辛いし~」
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