初恋なの

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次の日 お仕事は休みだったので、また学校へ。 「今日は進路希望とか就職希望とかでも書いてもらおうか」 そんな授業だったの。 「内容についてはグループで話し合えよ?」 やだな。 …でも尚兎と一緒だ〜! 席が近いんだもん! 「柴田はなんて書いた?」 「家業を継ぐ!」 「なんだよ、家業って。意味わかんねー」 「佐藤はあれだろ?グラビアで稼ぐってやつ」 「やだー、そのうち水商売やりかねなくなーい?」 「でー?柴田の家業って建築とか?てか店とか?」 「料理屋じゃないのー?」 「違う」 尚兎の機嫌が悪くなっちゃった。 書いた紙は先生に回収された。 「さてと、一応希望の職とか大学とかよく書いてくれたな。じゃ、発表してやろう」 「えーやだぁ」 「まじ嫌がらせ」 「はい、じゃあまずエリート柊から読んでやろう」 「名指しですか?」 「獣医になるために東京動物病院付属大に入る」 「さすが」 「かっこいいじゃん!」 いいなぁ。亮伍くん…。素敵だなぁ。 先生は面白おかしくみんなのを読み上げていく。私の、発表されちゃうのか。 「次、佐藤。女優」 「なにそれ?」 「うけるし!佐藤漢字読めねーだろ?」 やだな。 「お前ら、だまれよ。离緒はちゃんと努力してるし」 亮伍くん…。ありがとう。 「そ、そうなの?」 「柊の知り合いだしな…」 「はいはい、じゃ次。柴田、爬虫類バイヤー」 「は?柴田ミュージシャンじゃねーの?」 「え?家業?爬虫類?」 「え、それって蛇とか?」 「そう。悪い?」 「なんかかっけーじゃん」 「えー、柴田って趣味悪い」 「なんか怖い~」 「だまれ。お前らみてぇな奴にこの仕事がどんな仕事かわからねぇだろうな。バカだから!俺は誇りに思ってる!」 尚兎…。すごく真剣。 お家のお仕事のこと、大好きだもんね。 「お、おい。柴田落ち着け。ま、今日は授業終了ってことで」 先生は教室出て行っちゃったよ…。 「柴田、お前どうしたよ?らしくなくね?」 「うるせぇ!俺の携帯見るか?これが待ち受けだ!」 携帯をみんなにかざす。 あれは尚兎が大切にしてる蛇たち。 「俺はこいつらなしでは生きてけない!お前らにはわからないだろーけどよ!」 「きゃー!なにそれ怖い!」 「なんなの?やだ!」 女の子たちが怖がってる。たくさん映ってるから、怖いのかな? 「うっわ、ガチで引くわ」 「柴田やべぇ」 あれ~?男の子たちも? 「そーですか。じゃあ俺に近づくな」 「おい、尚兎。なにキレてんだよ」 「亮伍、だってこいつら!」 「人には感じ方がそれぞれ違うんだぞ。しょうがねーじゃん」 「俺はそんなやつらと仲良くできない」 「まーたそうやって人寄せ付けないよーにする。ったく、お前にはコミュニケーション能力がないなぁ」 「亮伍、俺…もう帰ってい?」 「帰れ」 尚兎、ほんとはすごく辛かったんだと思う。 本当に帰っちゃった。 「尚兎は短気だからなぁ。みんな気にすんなよ」 尚兎。亮伍くんは尚兎のこと心配してるよ?よかったね。 あ、尚兎かばん忘れてる! 思い立ったら勝手に足が動いてた。 「あ、离緒!こらー」 足が遅いけど一生懸命走って尚兎のとこへ。 「た、た、尚兎!こ、これ、」 「んだよ!」 「かばん、忘れてるよ?」 「…まじか」 よかった。受け取ってくれた。 「あのね、离緒はね…蛇、怖くないよ。尚兎も怖くないよ」 「あっそ」 「尚兎のこと、好きだよ」 「あっそ」 は!私ったら!言っちゃった! …でも、尚兎はそのまま帰っちゃった。
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